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就活の差にビビりますね

方鑑というのはいわゆる「方角を観る」の術である。

観相者や方鑑術師は、お互いに縄張りの侵されることをおそれて、その正統性を述べているが、私は方位・方角も家相術の中の重要な事象のひとつだと思うことにしている。 うららかな春の日に、日当たりのよい縁側で日なたぼっこなどというのは楽しいものだ。
日照権という言葉があるが、こうした春の太陽を浴びていると、日照は人間が酸素を吸うのと同じだと思う。 それが権利として成立すると、一日4時間が原則で、それから1分でも欠けたらダメで、1分でも越えればそれでもう十分と決められていってしまうのはおかしなことだ。
温帯に住むわれわれ日本人にとって、春の太陽の恩恵ははかりしれない。 それは、はなから権利とか条例などというものとは、何かそぐわないものである気がする。
それはさておき、方位方鑑はまず磁石を据えて、その「方位」を測定することにはじまる。 ではその磁石をどこに据えて測定するのかというと、定説はない。
その定説のない方位測定方法によって、便所が鬼門に当たるとか、玄関が吉方にあるとかいって、一喜一憂するのはナンセンスといわざるをえない。 だいたい、磁北と真北は、稚内では約9度38分、函館では約8度、会津若松では約7度、熊野では約6度、宮崎では約5度15分も西ヘズレているのだから小さな便所や玄関など、すぐ測定の範囲からズレて、鬼門も鬼門でなくなってしまう。
逆に鬼門ではないと安心していても、正真正銘の鬼門になるかもしれぬ。 江戸時代、家相術の大家であった7尾周斎は、太陽の見える方位が「東」で、沈む方位が「西」であるとした。
さしずめ現代なら、束に高い建物があって、昼ごろにならないと太陽の出てこない敷地は、その太陽の出てくる方位、たぶんかなり南にかたよったところになるだろうが、そこを「東」と考えるわけだ。 また、太陽のあたる暖かい方位だけでなく、寒風が吹き抜けるような方位もまわりの環境によってちがうはずである。
逆にその方位は夏に涼しいこともあろう。 紫宸殿は南面しているが、清涼殿は東面している。
このように環境と方位の関係は、機械的に磁石だけで決められるものではない。 また、便所なども、隣家の便所が、自家の南向きの縁側のすぐ前にあるというのでは、いくら自家の家相方鑑にこだわっていても、いただけない方角になろう。
こうして考えてくると、要は、磁石が示すすこしの方位の違いに一喜一憂することではなく、まず、住まい方の工夫からはじめるべきだということではなかろうか。

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